がんばったら報われると思えることそのものが環境のおかげ【Woomaxブログ】
先日、東京大学学部入学式で
同大名誉教授であり女性学・ジェンダー論の第一人者である
上野千鶴子先生が読まれた祝辞の中の言葉です。
この言葉の段落を引用します。
あなたたちはがんばれば報われる、と思ってここまで来たはずです。
ですが、冒頭で不正入試に触れたとおり、がんばってもそれが公正に報われない社会があなたたちを待っています。
そしてがんばったら報われるとあなたがたが思えることそのものが、
あなたがたの努力の成果ではなく、環境のおかげだったこと忘れないようにしてください。
あなたたちが今日「がんばったら報われる」と思えるのは、これまであなたたちの周囲の環境が、
あなたたちを励まし、背を押し、手を持ってひきあげ、やりとげたことを評価してほめてくれたからこそです。
世の中には、がんばっても報われないひと、がんばろうにもがんばれないひと、
がんばりすぎて心と体をこわしたひと…たちがいます。
がんばる前から、「しょせんおまえなんか」「どうせわたしなんて」とがんばる意欲をくじかれるひとたちもいます。あなたたちのがんばりを、どうぞ自分が勝ち抜くためだけに使わないでください。
恵まれた環境と恵まれた能力とを、恵まれないひとびとを貶めるためにではなく、
そういうひとびとを助けるために使ってください。
そして強がらず、自分の弱さを認め、支え合って生きてください。
女性学を生んだのはフェミニズムという女性運動ですが、
フェミニズムはけっして女も男のようにふるまいたいとか、弱者が強者になりたいという思想ではありません。
フェミニズムは弱者が弱者のままで尊重されることを求める思想です。
“がんばったら報われる”と思える環境とは、つまりどのような環境なのか、
改めて考え、認識したいと思います。
そして、自分の弱さを認め、相手を相手のままに見つめ尊重し、
周囲を助け、励ます人でありたいと強く思い直しました。
祝辞の全文はこちらからご覧いただけます。
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