十二代目市川團十郎丈について

昨夜、私の心のよりどころのひとつであった十二代目が亡くなってしまいました。

本当に、團十郎さんの舞台を観るたびに
自分の中の邪気は払ってもらえ、またチカラをいただきました。

どの舞台も一期一会で私にとっては宝物ですが
何が一番思い出深いかというと、
11年前の1月初春公演@大阪松竹座
新之助(現;海老蔵)との連獅子親子共演です。

私は仕事で神戸に出張してたのですが
ふと、
「今月、成田屋は松竹座なんだよなあ」と思い立ち
後援会に電話でお願いしてお切符を取っていただき
仕事を終えた後、大阪に行ったわけです。

連獅子は、

「それ牡丹は百花の王にして 獅子は百獣の王とかや 
桃李にまさる牡丹花の今を盛りに咲き満ちて 

虎豹に劣らぬ連獅子の
戯れ遊ぶ石の橋~」

・・・とうたわれるとおりの石橋物(しゃっきょうもの)
能からうまれた歌舞伎の舞踊演目のひとつです。
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白い手獅子を持った狂言師右近と
赤い手獅子を持った左近。 
親獅子が子獅子を谷に蹴落としても
子獅子は必死で駆け上がるという様が

歌舞伎の世界の「本当の親子でもあり非常に厳しい師弟でもある」という二人が
演じることによって醍醐味が変わります。

親獅子の團十郎さんの芸道と人生の経験とご本人の気力が満ちあふれているときに
子獅子の新之助も本気で芸道に励む覚悟をもっての一歩、二歩が踏み出せたときだったので、本当に本当にすばらしかったです。

無理をしてでも行ってよかった。
舞台はやっぱり一期一会だから
観たいと思ったら世界中どこに行ってでも

観るべきだと心に改めて確信させていただいた舞台でした。

というわけで、私の中の成田屋親子共演ベストは「勧進帳」ではなく「連獅子」

3月に生まれる予定のお孫さん(男の子)と一緒に3代連獅子が

成田屋贔屓としての一番の願いでしたが、現実には観ることかないませんでした。

でも、心にイメージすることはできます。
結構リアルにイメージできます。

團十郎丈の言霊で心あらわれ、力を頂いた舞台を
想い出しながらご冥福を祈ります。