「おにぎり」の試験問題から考えるマイノリティと多様性

当事者意識を考える

医学部入試で出た「おにぎり問題」

「おばあさんとおにぎり」の画像検索結果

なかなか興味深い内容で、現代らしい問題だな、と思いました。

1.生徒にどう指導するか?

2.おばあさんにどう事実を説明するか?

という事ですが、まず

1.生徒にどう指導するか?

これは指導する以前に、生徒たちの価値観の問題であるため
「先生である私」が「生徒たちの価値観を受容する」事
を先にしなければならないと思いました。

ですので、ここでは

「指導」

はせず、後日クラス会などで

「議題」

にし、お互いの価値観を出して話し合う事をします。

「正しいかどうか」

ではなく

「他人の価値観を聞いてどう思うか?」

という事だと思うので、それを深掘りして一緒に考えたいと思います。
※「指導しなければならない」ことが前提である、この問いに対しては不正解なのかもしれませんが…。
次に

2.おばあさんにどう事実を説明するか?

ここからは、俗に“マイノリティ”とされている私が抱えている

『精神疾患』

に置き換えてみた場合の話をします。

例えば、精神疾患を抱えている男性である私が婚活パーティーに行ったとします。
私は最初から隠し事が嫌なので、相手の女性たちに

「オレ、“双極性障がい”という精神疾患なんだ!」

と話した上でその場で仲良くなり、何人かと連絡先を交換しました。
しかし、後日

【ほとんどの人が連絡を返してくれない】

という事態が起きます。
私は、主催者側に

「連絡が取れないんですけど、どうなってるのでしょう?」

と問い合わせます。
主催者側は女性陣からは

「精神疾患の人と関わりたくないから、あの人からの連絡は無視します」

と言われていて、事実を知っています。

さて、私はどうすれば納得するのか?

・・・と置き換えてみると、自分ごととして、考えられます。
(あくまでも例えなので、実際に女性が精神疾患のある男性に偏見があるかどうかは全くの別問題です!!そして他の精神疾患の男性も!)

この場合、やはり

「なぜだろう?」

という理由や事実が知りたいと思うので、
おばあさんも子供たちがおにぎりを食べない場面を見たら

「なぜ、おにぎりを食べないのだろう?」

という理由が知りたいのではないかと思いました。
そして、その理由は知らせるべきだと思います。
というのも、ここで仮に嘘をついたとしても、このおばあさんは

【また同じ問題に出くわす可能性が高い】

と思うのです。

パーティーの例でも、「精神疾患である事」が理由で私が拒まれているのであれば、
私がもう一度他のパーティーに参加してもおそらく同じ事が起こるでしょう。
ですので、事実を言ってもらった方が

【無駄なことをしなくて済む】

わけです。

おばあさんも、今どきの子供たちが食べないとわかっていれば、
次に来た子供たちにおにぎりを提供しなくて済みます。

本人が

【二度と同じ問題に遭遇しない】

と断言できるのであれば「嘘も方便」は成り立つと思いますが、
そうでなければ、それは

【自分が嫌われたくないからつく嘘】

になるのではないでしょうか?

私の場合は、この婚活パーティー現象が起きたら

「もしかしたら精神疾患だからかな?」

と予想すると思います。
ただ、それもあくまでも予想であって

「単に私という人間が嫌われただけ」

なのかもしれません。
だから、おばあさんも

「今どきの子は他人のおにぎりを食べないよね」

と予想する人もいれば

「私の事が嫌で食べなかったのかも」

と予想する人もいるのではないか?ということです。

 

この例えを他の人にも

この私が作った例えを、私の知り合いの同じ双極性障がいの男性数名に聞いたら

「そりゃあ精神疾患なんて敬遠されるに決まってるよ!」

という意見が多数でしたが、逆にその後で

「この、おにぎり問題に置き換えてみたら、どう?」

と聞くと

「・・・うん、先入観でなくきちんと理由が知りたいと思う」

と言いました。
(ここで【当事者意識】という、興味深いものも一つ発見できました)

おばあさんの場合

「今どきの子供たちの半分は他人のおにぎりを食べない」

という事実を知らないと、今後、集団の子どもたちだけでなく、
拒絶が怖くて他の人にもおにぎりを提供できなくなる可能性もあります。

婚活パーティーの例も「病気」が原因なのか「単なる自分」が原因なのかがわからないと、
女性不信になり、精神疾患になんの抵抗もない女性と巡り合うチャンスを潰すことにもなりかねません。
(女性の方、他の男性、重ね重ねですがあくまでも例えです!)

とはいえ

「精神疾患の男性も魅力的に思おう!!」
「他人の高齢者の作ったおにぎりも食べよう!!」

などと啓発するのは違うと思うのです。
(これが私の問1の答えに近いと思います。)

これらのことを踏まえ、私は最終的に

・知らせないと「相手がもう一度同じ場面に遭遇する可能性がある事」は、事実を知らせるべき

・自分が相手に嫌われたくないかどうか?の考えでの判断は無くす

という結論を出しました。

問いの答えとして整理をすると長くなるので、結論だけに留めますが、
考えれば考えるほど興味深い。

考える機会を与えてくれる、とても良い試験問題だと思いました!!

 

編集後記

あなたの考え、結論はいかがでしょうか?

一度【当事者意識】も持ちながら、ぜひ考えてみてもらえたら嬉しいと思っています!

お問い合わせ

各種研修・コンサルティングのご依頼を承っております。
ぜひお気軽にご相談ください。