リケジョレポート第五弾 堀川真加さん(その1)

さて今週も、インタビューシリーズ!
私が出会った素敵なドボジョのご紹介が続きます
前田建設工業株式会社
事業戦略室 事業企画部
上席調査役 堀川真加(ほりかわ まなか)さん
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■建設業に興味を持ったきっかけをお聞かせください。
子供の頃から、解が明快な数学・物理が好きだったんです。
高校時代、友人宅で、親御さんの仕事道具である製図道具等を見て「カッコいい」と思い、建築の道に進もうと思いました。
■大学は工学部に進み、土木工学を専攻されたのですよね?
建築に興味があったが、建築は大変 人気があり、土木工学の道に進むことになりました。
■大学で土木の道に進んでみて、いかがでしたか?
建築よりも、スケールが大きくて、さらに景観に関わる仕事でもあり、「悪くないな」と思いました。そこから景観デザインなどに興味を持つことにつながりました。
■具体的にはどのようなことに興味を持たれたのでしょうか?
実験を始めた頃から、土木がより好きになり、構造など泥臭い方にも興味を持つようになりました。結果的に、コンクリートや土の研究をする研究室に進みました。
■卒業後、どのように進路を決めたのでしょうか?
大学時代、研究室での実験を通してますます「作る方」に興味が移り、このまま、ものを作る会社に入りたい、と思ったんです。関連する会社・団体にヒアリングした結果、
「現場を知ることが何より大切」という雰囲気を業界全体に感じました。現場を知らない女性が何か発言しても、説得力がない、と感じ、後のキャリアにプラスにするためにも、建設会社に進むことに決めました。
そして、建設会社への就職活動を進めていく中で、会社によっては「男子学生を取りたい」という会社側の【思い】を強く感じた経験もありました。
■どのような【思い】を感じられましたか?
例えば、「君の大学からは1名 採用したいと思っている」という会話をする中で、その裏にある「だからその1名は、ずっと長く働いてくれる男性が良い」というような、直接的なキーワードはなくとも様々な会話の中でそういった採用担当者の思いを感じることは、多少ありました(笑)。
そのような状況の中、「男性を取りたい」という雰囲気も感じず、女性も受け入れて活躍させたいという思いが伝わったのは前田建設工業だったんです。もともと新しくチャレンジすることを推奨する雰囲気のあった前田建設工業だからこそ、女性に対してもリベラルな姿勢だったのではないかと思います
何より、個人として公平に客観的に見てくれたと思うので、今では、採用してくれた恩を返そうという思いが大きいですね。
■みなさん、そういう思いを持たれて今もがんばっていらっしゃるのでしょうか?
同期の女性は土木1名、建築1名の2名です。会社全体で見ると、土木職の女性は18名。
私が入社した当時は4名でした。先輩に9年目の土木職の女性がいましたが、その方が、男性以上に頑張って、「女性でも土木で活躍できる」という実績を作ってくれたからこそ、新入社員の自分に対する風当りも強くなく、とても働きやすかったです。先輩たちに対しては、そんな風に女性が活躍できる土壌を開拓してくれたという感謝が大きいので、私も後輩たちのために女性が活躍できる土壌を整えていきたいと思っています。
■後輩の女性たちのために支援したいこととはたとえばどのようなことですか?
会社の中で女性同士が集まり、情報交換できることは必要です。女性の人数が少ない時期は個々人のつながりで十分な情報交換ができていました。最近は、女性の人数が増えて心強い反面、地方で働く女性も増え、顔見知りになれない女性職員もいるのが現実です。今後は、そんな皆さんともつながる体制作りをしていきたいと思っています。
■現在のお仕事とそのやりがいを教えてください
今は事業戦略室で、イノベーションにつながるような次世代の仕事の企画をしています。
今までは、発注者の意向に大きく左右されるビジネスモデル(工事を受注し売上を積み上げていく、請け負い型の仕事)が多かったのですが、将来に向けて、「脱請負事業」に取り組み、安定的な利益を生み出すモデルへの転換が必要ということで作られ、私も現在、新しいイノベーションに向け、開発・企画の段階から携わっています。現在は、再生可能エネルギー、つまり太陽光、風力発電の企画を担っています
現場の泥臭さはないが、新しいチャレンジをしている実感があり、社長 直轄の部署なので、経営に近い仕事をしているという感覚もあり、とてもやりがいを感じています。
■今所属の組織陣容を教えてください。
現在、事業戦略室23名の中で、事業企画部は8名、うち女性が5名と女性の多い職場です
とはいっても、「中身の半分は男性」タイプの女性が多いと思います(笑)皆さんサバサバしていて、大変 働きやすく、楽しい職場です。
■『今の職場ならでは』の良いところを具体的に教えてください
大きく2つあります。
育児への理解があるところ
担当役員も理解があるので、室課のメンバーはやむを得ない急な欠勤にも嫌な顔をする人はいません。どうしても現場では「いることが仕事」という側面がありますが、事業戦略室での仕事は結果さえ出せば、必要に応じて明日に仕事をまわしてもフォローができ、融通が利くところが助かっています。
②新しい視点を求められてつくられた室課なので「物事を広く捉える」「直感が働く」という女性ならではの特性が活かされ、なおかつ女性が多いので、意思の疎通が図りやすいです。
■現場で女性が活躍するために必要な工夫は何だと思いますか?
現在でも、若手の女性職員は男性と変わらず元気に良くやっていると思います。特に結婚までは、悩まずに進んでこられるのが実態。しかし、子供を持って、現場で働く人は今まではおらず、ビジョンを描けないのが悩みです。現場にいながらも出産後の女性が活躍するためには、現場に張り付かなくても良い業務(工務など)をうまく創っていく必要があると思います。
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先輩の実績に感謝し、後輩にバトンをつなぐ姿勢がとても美しいなと思いました。
次回はプライベートについても伺います!
お楽しみに・・・