知識が助けてくれること
いつもありがとうございます、キヨです。
誰しも、大なり小なり「バイアス(思い込み)」を持って生きています。
人によって違うのは、バイアスの量ではなく、自覚しているかどうかです。
ダイバーシティ推進で、この「自己のバイアスを認識する」事は不可欠です。
そこで今回は、「ミスの一因となる言葉の曖昧さ」の教材となる
『認知バイアス事典』をご紹介します。
本日の一冊:『認知バイアス事典』 情報文化研究所 著
事典と称するだけに、60もの事例とその要因が詳しく説明されています。
今回は、その中のひとつを取り上げます。
【砂山のパラドックス】
完成した砂山から1粒砂を取り除いていく様子を想像してみよう。
このとき、「砂山から砂を1粒取り除いても依然として砂山である」が成り立つ。この議論に基づいて、1粒ずつ取り除いても残されたのは砂山ということになる。
この作業を繰り返していくと、いつかは1粒の砂が残されることになる。では、残った1つの砂粒を砂山と呼べるだろうか。
おそらく多くの人は、1粒の砂粒を砂山と呼ぶことに抵抗があるだろう。
しかし、この連続した議論から「1粒の砂も砂山である」という結論が生まれる。このように、「意味が曖昧な語に正しい議論を適用すること」でパラドックスとなる。
ん? 奇妙な話? なんか分かりづらい…
そのように感じられた方もいらっしゃるかもしれません。
そう感じてしまうのは、「何をもって砂山と呼ぶのか?」についてが不明瞭だからです。
言葉が曖昧なままだと、受け手の人はどう解釈してよいのか迷います。
では、どうすればよいのかを著者はこう記しています。
意味が曖昧な語を扱う際には、
ボーダーラインの状況をどのように捉えるかが重要である。
ボーダーラインの範囲内では、その語についてその都度審議が必要であると決めてしまえばよい。このような曖昧性を持つ語として「古い」「若い」なども考えられる。
この種の語を用いる際には、自分が用いているその語がどの範囲を指すのか、
周囲とその範囲について了解がとれているのかどうかを確認することで、
無駄な衝突を避けることが可能になる。
何をもって、「若い」のか、「新しい」のか、「ラク」なのか、「効率的」なのか?
発信側のボーダーラインが明確でないと、受信側のさじ加減次第となります。
例えばビジネスでは、このようなシーンが想像できます。
・上司の指示が曖昧で前回と同じにしたら、ミスとなり後で叱られた・・・
・顧客の要望を自分なりに懸命に捉えたが、なぜか失注した・・・
・会議の内容をどう理解すればよいのか周りに相談したら、より悩んだ・・・
発信側は、「その言葉のボーダーラインを意識して」伝える。
受信側は、「その言葉のボーダーラインを確認して」了承する。
お互いが「バイアス(思い込み)を持っている」ことを自覚し合うのです。
そして、著書の最後の章には、こう書かれています。
認知バイアスは無意識に作用する。
よって、知識がない状態では、気づくことも防ぐことも難しい。
言い換えれば、知識があれば、気づくことも、防ぐことも可能になる。
その「知識」のための用語、事例、対処法、使い方を紹介してくれる一冊です。
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