伝統と革新と七月大歌舞伎@歌舞伎座
以前は、七月大歌舞伎といえば、
玉三郎丈が若手を歌舞伎座に出演させる場として座長公演を張っていたのですが
2016年から玉三郎丈は座長を降り、2017年からは海老蔵が座長となって
麻央ちゃんが亡くなって間もない中、歌舞伎座公演の働き方改革の推進をしたことも記憶に新しい。
そして、今年も海老蔵座長の七月大歌舞伎
Woomax的には期末なわけですが、もちろん私、昼夜共に行きましたわよ。
いっつも海老蔵には厳しい上村以和於さんの日経新聞劇評
冒頭と文末に若干の「ディスり」がいつも通り匂ひますが、
全体としては「良し」としてくれているのかと思われる文章。
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO33092830Y8A710C1BE0P00/
何が言いたいかというと、本当に伝統を受け継ぎ、革新を進めていくということは
いかに骨が折れることよ、と想いを深くせざるを得ません。
昼の部、
冒頭になぜ西遊記?は話題になっていますが
私は素顔の海老蔵さんがすっぽんから出てきてご挨拶をする方が良い意味での「度胆」でした。
HONDAの株主総会八郷社長のプレゼンのごとく、これから始まる演目の概略を素顔プレゼン。流暢な説明はワクワク感を齎し、猿つながりの西遊記が出てきたとしても、
「え!あれから三蔵どうなっちゃったの?」と西遊記自体のオチが気になったことも不問に出来る。
三法師のカンカンは通る声でよくセリフが言えていたし
声が魅力になるのは良いことだなあとこれまた未来にワクワクできた。
夜の部は源氏物語
2014年の南座から自主公演で新たな解釈を展開してきた海老蔵さんが
満を持して歌舞伎座で披露の新解釈、新演出の源氏物語。
彼の出世作と言っても良い2000年の5月大歌舞伎での源氏物語の方が
親しみやすいし、源氏物語を知らなくてもある意味楽しめる仕立てであったように思う。
私自身も、気楽に楽しめるのは寂聴版源氏物語に軍配があがる。
2000年から数年かけて何回かにわけて演じられた源氏物語
海老蔵は演じるうちに葛藤があったらしい。
歌舞伎美人や今月の筋書のインタビューでも語っていた通り
祖父がつくった『源氏物語』、父が継承した『源氏物語』、そして私が変化を与えて幅を広げた『源氏物語』
少しずつ形にしてきたんだよねぇと感慨深い。
とはいえ、成田屋マニアでない限り、今回が初お目見えの、
能(狂言)、オペラ、華道、プロジェクションマッピングを包括した演出
光源氏の闇を描いて次代に渡すために闇の中に光を指すストーリーにして世に出した
今回のチャレンジは、上村大先生や他の人が言及されている通り
「源氏物語を知らない人にはむずかしいんじゃん?」って感じではあります。
ただ、バレエもオペラもそうですが、事前にストーリーや時代背景を予習したり
まあ、事前学習時間は難しくともイヤホンガイド聴きながら知識を補完してもらったりすれば十分楽しめます。
そんな革新的なチャレンジの詰まった源氏物語はなんと本日Amebaで無料放送されます。お時間ある人はスマホでも源氏の世界がダイジェストで体感できますよ~。
今、クリックしようとしているあなた、オンタイムで見れなくてもマイビデオに追加すれば好きな時に視聴が出来ますよ!!