積み重ねることの尊さとチームで志事をすることのありがたさ
こんにちは。竹之内幸子です。
昨日はオーチャードホールでK-BALLETの「海賊」初日を鑑賞いたしました。
熊川氏のバレエとの出会いは、Kバレエ団設立以前から数えると恐ろしい数字に・・・。
しかし、バレエ団設立当時からでも、もう、すでに13年
設立当初は初日と云ったら「ゲネプロ気分か!」
群舞のみなさんにも「お稽古の発表会か!」などなど
厳しいコメントも書かせていただくこともしばしばありましたが
そんなことは、今は昔・・・。
舞台は一期一会なので、本当に本当に感動する舞台に出会えるのは
数年に一度なんですが、昨日は、久方ぶりにそんな舞台でした。
背景、小道具、衣装、ライティングといった舞台美術の美しさと
専属オケの音の美しさと、
群舞も含めたみなさんの踊りのハーモニーが素晴らしかった。
あの観客席も含めた生きている舞台全体が至高の芸術です。
何よりのミラクルは39歳になった熊川哲也氏の踊りが
技術的にも芸術的にも更に高みにいっているというコト。
激しい踊りで何回もこの「アリ役」で大怪我した熊川氏。
なぜ、この年令になっても高みに行けているのだろうかと考えた時
やはり、彼はK-BALLETというチームを作ったからだなと思いました。
バリシニコフもヌレエフも現役の時は「スター」でしかなかった。
ダンサーとしての晩年はやはり「超絶技巧からは卒業」というイメージが残ってます。
が、しかし、熊川氏は自らのバレエ団を経営し運営もする。
自分だけが「スター」で「芸術のことだけ」磨いていればいいわけでもない。
後進のダンサー(男性も)を育てることにも本気で臨んでいます。
そして、自分のカンパニーだからといって
よくあるように権力で、既得権益としてトップに居座ることも可能でしょうが
それでは、1ツアー何万人も毎回足を運んでもらえるような「あの舞台」は
創れないし自らあのように踊れない。芸術の世界も数字が結果になる。
常に実力ともにポーラスターでありつづけられるのは
下から「絶対、彼に、追いつこう、抜かそう」と
目指して努力研鑽するダンサーたちのためにも己を磨いてきたから。
自然にあの身体、あの踊りが今もできる、進化し続けているのだと感じ入りました。
単なる「スター」だけの役割だったら彼は10年前に引退していたかもしれません。
自分のため、「自利」だけでは、「がんばる」ことに限りがある。
「利他」の境地に至ってこそだと思うのです。
徐々に後進のスターたちに譲る準備を着々としながら
自らは誰にも文句を言わせないほどの実力で舞台を創る、務める。
経営者の在り方としても深く学んだ公演でした。
次の公演は夏のトリプル・ビル
ラフマニノフの音楽にあわせた「ラプソディ」は哲也くんで観てほしい。
相手役は誰か海外の大物が来るのかも~楽しみ~。
昔、この衣装をトナーのマークのようだといった人がいました。
バレエは右脳で感じて欲しい。